サンセイアールアンドディの山本和弘社長が、2026年に導入した基幹システム「SAP」の狙いを明らかにしました。
同社は財務・購買・在庫・生産・販売などの情報をつなぎ、確認や転記に費やしてきた時間を、判断や改善、新しい提案へ振り向ける方針です。9月28日に公開されたインタビューで、SAP導入を単なるシステム更新ではなく、働き方そのものを変える取り組みだと説明しています。
サンセイが2026年にSAPを導入
サンセイアールアンドディは2026年、クラウド型ERP「SAP S/4HANA Cloud Public Edition」と、取引先との受発注や請求情報をデジタルでつなぐ「SAP Business Network」を導入しました。
さらに開発基盤「SAP BTP」を活用し、バーコードによる受入システムや各種インターフェースを自社開発。入出荷業務の効率化、データ精度の向上、サプライヤーとの情報連携強化を進めています。
山本社長によると、これまで社内には同じ情報を複数のシステムへ入力する作業や、人が繰り返し確認する業務、特定の経験者に依存する判断がありました。SAPで業務を標準化し、部門をまたいで情報を共有できる基盤を整えることで、こうした定型業務を減らしていく考えです。
供給と品質の安定をホールへの価値につなげる
遊技機は多くの部品、取引先、工程を経て製造されます。途中で情報が止まったり、発注・在庫などの情報に食い違いが生じたりすれば、納期や品質へ影響する可能性があります。
今回の仕組みでは、部品の発注から入荷、受入、在庫、請求、会計までを正確かつ迅速につなぐことを重視。サンセイ側は、必要な時に必要な品質と台数を届けられる状態をつくることが、最終的にホールとの約束を守ることにつながるとしています。
DXを外向けにアピールすることが目的ではなく、ホールが安心して同社を選べる供給体制を整えるための取り組みという位置づけです。
AIも活用し、現場が自ら改善できる体制へ
バーコード受入システムなどを自社開発した理由については、導入後も自分たちで改善できる力を社内に残すためだと説明しています。
現場の業務を知る社員が設計や開発に加わり、AIも活用しながら、ミスが起こりやすい工程や時間のかかる作業を仕組みに反映。外部へすべてを任せるのではなく、実際に使う社員が継続して育てられるシステムを目指しています。
山本社長は、立派なシステムを導入しても現場で使い続けられなければ意味がないとして、導入後の改善まで含めてDXだとの考えを示しました。
目標は「確認する時間を減らし、判断する時間を増やす」
サンセイが目指すのは、入力や照合などの作業時間を減らし、社員が市場やホール、ユーザーについて考える時間を増やすことです。
具体的には、ホールの導入リスクをどう下げるか、地域や客層に合った提案ができるか、ユーザーに「もう一度打ちたい」と思ってもらうには何が必要かといった、本来メーカーが向き合うべき課題へ時間を使う方針です。
すでに事務業務を担当してきた社員が、シェア拡大に向けたアイデアを役員へ直接提案する動きも生まれているとのこと。サンセイは今後、所属や役職を問わず社員から提案が出る状態を日常にし、そこで生まれたアイデアをホールやユーザーへの新たな価値につなげたいとしています。
出典:Amusement Japan「シリーズ/いま、サンセイを読み解く第3回|SAP導入の狙い 定型業務から考える仕事へ」